家庭用Wi-Fiルータ、どう選んでいますか?レビュー評価や価格だけで決めていませんか?
もちろんそれでも大きな失敗はしづらいですが、Wi-Fi6以降のルータは性能差がかなり広く、価格も1万円台から数万円台までピンキリ。せっかく買うなら、自分の使い方に合った性能のルータを選びたいですよね。
この記事では、Wi-Fiルータの選び方を初心者向けにやさしく解説。ストリーム数や通信速度など、難しそうなスペックを見方を理解し、お得なルータの選び方を紹介します。
Wi-Fi高速通信の仕組み
Wi-Fi6ルータ選びでまず注目すべきは、どれだけ高速な通信ができるかです。性能の差が大きいので、スペックのポイントをかんたんに整理していきましょう。
ストリームとは何か
Wi-Fi6のスペック表にある「4×4」などの数字、何を意味しているかご存知ですか?これは“ストリーム数”の表記で、通信の通り道のようなもの。
イメージは「片側4車線の高速道路」。車線が多いほどたくさんの車が同時に走れるように、ストリーム数が多いほど、複数の端末が同時に速く通信できます。
例えば「4×4」は、送信4本・受信4本=4ストリームずつのルータ。速度や同時接続に余裕を持ちたいなら、ストリーム数の多いモデルがおすすめです。
チャネルとは何か
ストリーム数に加えて、通信量に影響するのが「チャネル幅」です。
イメージは、荷物を運ぶ車の大きさ。小型車より大型トラックの方が一度にたくさん運べますよね?Wi-Fiでも、通信の“道路の幅”を広げることで、一度に流せるデータ量を増やすことができるんです。この道路の幅が「チャネル」、そして**複数の道路を合体させてさらに幅を広げる技術が「チャネルボンディング」**です。
たとえば、標準的な20MHz幅に対して、40MHz・80MHz・160MHz・320MHzとチャネル幅が広がるほど通信速度もアップ。動画視聴や複数端末の同時接続に強くなります。
MIMOとは何か
もっと速く、もっと効率よく通信したい。技術はそんな欲張りなニーズにも応えてくれます。
先ほど説明した「ストリーム(アンテナ)=車線」をさらに活用して、複数の車線を同時に使うことで、もっと大きな荷物を一度に運べるようになる仕組みが「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」です。
つまりMIMOは、複数ストリームをフル活用して、より高速かつ安定した通信を実現する技術。Wi-Fiルータでは4×4 MIMOや8×8 MIMOなどの表記があり、数字が大きいほどたくさんの同時通信が可能になります。
通信の効率化 OFDMA
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)は、Wi-Fi6で導入された新しい通信技術。
言葉で説明すると難しすぎますので下の絵を確認しましょう。簡単に言えば、たくさんの荷物を複数の宛先へ一気に届けられるようになったイメージです。
Wi-Fi5までの通信では、端末ごとに順番を守って荷物(データ)を運んでいました。でもそれだと、空いているトラックがあっても次の端末が来るまで待たないといけない。非効率ですよね。
Wi-Fi6のOFDMAなら、1つのトラックの中で荷物をごちゃ混ぜにして、複数の宛先へ同時に運ぶことが可能に!この仕組みによって通信のムダが減り、速度と安定性がグッと向上しているんです。
新しい通信帯域6GHz帯の追加
Wi-Fi6Eから、“新しい道路”=6GHz帯が追加されました。
これまでのWi-Fiは、2.4GHzと5GHzという2つの帯域で通信していましたが、6GHzはまったく新しい第3の帯域。この帯域は、Wi-Fi6E対応機種だけが利用できる専用レーンのようなもので、他の端末と混雑しづらく、より安定して高速な通信が可能になります。また、6GHzは通信干渉が起きにくいため、ゲーミング・動画視聴・重いデータのアップロードなどでも快適です。
通信帯域をまとめて使うMLO
Wi-Fi7では、“複数の通信レーン”をまとめて使う技術が登場します。それが、MLO(Multi-Link Operation)です。
これまでのWi-Fiは1本の道しか使えませんでしたが、MLOでは複数の通信帯域(2.4GHz/5GHz/6GHz)を同時に使って、通信を分担・協力させることができるようになります。まるで高速道路を複数車線で走って、目的地までスムーズにたどり着く感覚。
この技術によって、通信の安定性・高速性がさらに向上。特に動画会議やゲーミングのようなリアルタイム通信では、途切れにくく快適な体験が期待できます。
ルータ性能の読み方
無線LANの性能は、車線の数(ストリーム数)を増やし、車線の幅(チャネル幅)を広げて、複数車線を同時に使う(MIMO)ことで、大きなトラックがより多くの荷物(データ)を運べるようになります。
Wi-Fiの理論上の最大通信速度は、これらの技術の組み合わせによって決まります。例えば下記の表では、Wi-Fi6(5GHz帯)対応のルータがどの性能領域をターゲットに作られているか、確認することができます。
チャネル幅 | 1ストリーム | 2ストリーム | 4ストリーム | 8ストリーム |
---|---|---|---|---|
20MHz | 150Mbps | 300Mbps | 600Mbps | 1.2Gbps |
40MHz | 300Mbps | 600Mbps | 1.2Gbps | 2.4Gbps |
80MHz | 600Mbps | 1.2Gbps | 2.4Gbps(※1) | 4.8Gbps |
160MHz | 1.2Gbps | 2.4Gbps | 4.8Gpbs(※2) | 9.6Gbps |
実際のルータの仕様にはどのように書かれているのかみてみましょう。バッファローWSR-3200AX4Sは、上記の性能表の(※1)に該当する機種です。
ほどんどのルータの機器仕様のページには、Wi-Fiの最大速度の記載があります。このバッファロールータの仕様には「2401Mbps(80MHz 4×4)」という記載があり、これはWi-Fi 6(IEEE802.11ax)規格で、80MHz幅・4ストリーム時の理論最大速度を示しています。
次に性能表の(※2)にあるワンランク上の機種であるバッファローWSR-5400AX6Sについても確認してみましょう。
下線を引いた通り160MHzの4ストリーム4.8Gbps(4800Mbps)であり、WSR-3200AX4Sと比較してストリーム数は同じ4ですが、チャネル幅を広げたことでより高速通信ができる機種ということが分かります。Wi-Fi6の中では高性能のルータです。
各メーカーが作るWi-Fiルータは、性能表のどこかをターゲットに作られています。一般的にストリーム数やチャネル幅が大きくなるほど、性能も価格も比例して高くなります。しかし、ルータの性能を正しく理解できれば、同じスペックを持つ製品でも、メーカーによって価格差があることを見抜けるようになり、コスパのいいルータを選ぶことができるようになります。
自分に必要なルータの性能を決める
ルータを選ぶには、まず自分にとって必要な性能を見極めることが重要です。現在の利用環境だけでなく、将来的な拡張や家族構成の変化なども考慮することで、後悔のない選択ができるようになるでしょう。
ルーター性能の考え方が、「ちょっと難しいかも…」と感じた方は、人気モデルをまとめた一覧もありますので、そちらを参考にしてみてください。
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自分に合うWi-Fi規格を選ぶ
2025年現在、Wi-Fi7、Wi-Fi6E、Wi-Fi6の規格、6GHzの周波数帯に対応したルータが販売されています。下記を参考に、用途や予算に応じてどの規格のルータにするか決めましょう。
ルータの種類 | 用途や予算など考え方 |
---|---|
Wi-Fi7、6GHz対応 | 最新機能、最高スペックを使いたい、長期利用、価格は高めでも良い |
Wi-Fi7、6GHz未対応 | Wi-Fi7を使いたい、6G非対応でコストは抑制 |
Wi-Fi6E、6GHz対応 | 拡張性も考えつつ、コスパを重視、バランスのいいもの |
Wi-Fi6 | 拡張性必要なし、使えれば十分、価格は抑えたい |
同時に接続する端末数よりストリーム数を決める
Wi-Fiに繋ぐ端末がiPhone 1台なら、4ストリーム対応の高性能ルータはオーバースペックです。同時に使う端末の台数次第となりますが、1-2人・端末数15台程度の利用なら2ストリーム、3人以上・端末数20台以上なら4ストリームを目安に考えると良いでしょう。家庭内にあるWi-Fi端末は、PC、スマホ、スマートウォッチ、スマートスピーカー、ゲーム機、家電(テレビ、掃除機、スマートホーム、Amazon FireTV)など、意外と多くあります。
インターネット回線の速度を確認する
Wi-Fiルータの価格は、搭載している有線ポートの通信速度に大きく左右されます。たとえば、1Gbpsの回線を使うなら1Gbps対応のルーターを選べばよく、10Gbps対応ルーターを導入しても性能を活かしきれません。
今後の回線アップグレードも視野に入れつつ、現在の契約速度(100Mbps/1Gbps/2.5Gbps/5Gbps/10Gbpsなど)を確認し、それに見合ったルーターを選ぶことが、無駄のない選択につながります。
(参考)使っている端末の性能を確認する
通信速度が高いルータほど高速ですが、端末の性能がボトルネックになることがあります。
たとえば、iPhoneのWi-Fi 6仕様は「80MHz・2ストリーム」に対応しています。この場合、「320MHz・4ストリーム」の高性能ルータを買っても、そのiPhone 1台だけを繋ぐには性能を活かしきれず、オーバースペックとなります。そのため、ルータの性能と端末の対応状況をセットで確認することが重要です。
なお、2025年現在のルーターラインナップでは、320MHzまたは160MHzに対応した製品が主流となっており、端末側がボトルネックになるケースは少なくなっています。この点については、過度に心配する必要はないでしょう。
性能で選ぶルータ一覧
自分に必要なルーターの性能がある程度見えてきたら、次は具体的な選択肢をチェックしてみましょう。以下では、Wi-Fi規格・ストリーム数・回線速度ごとにおすすめの構成をまとめていますので、気になるスペック帯をクリックして開いてください。
Wi-Fi7(6GHz対応)|最新、ハイエンド志向の方向け
- 6GHz/4ストリーム、10Gbps回線 → 多台数接続+高速通信、家族全員が同時に使う環境に最適
- 6GHz/2ストリーム、10Gbps回線 → 端末数は少なめでも高速通信で品質を求める人に
- 6GHz/2ストリーム、2.5Gbps回線 →中速回線でもWi-Fi7を使いたい人に
Wi-Fi7(5GHz対応)|最新機能をコスパ重視で利用したい方向け
- 5GHz/4ストリーム、10Gbps回線 → 多台数接続+高速通信、干渉の少ない一軒家に最適
- 5GHz/2ストリーム、2.5Gbps回線 → 端末数は少なめでも、安定した通信と将来の拡張性を確保したい人向け
- 5GHz/2ストリーム、1Gbps回線 → 人暮らしや少人数世帯で、Wi-Fi 7の恩恵を取り入れたい人に
Wi-Fi6E(6GHz対応)|2025年で性能・価格のバランス重視の方向け
- 6GHz/4ストリーム、10Gbps回線 → 多台数接続+高速通信に対応、家族での同時利用やテレワーク環境に最適
- 6GHz/2ストリーム、2.5Gbps回線 → 2025年現在で一番無難なラインナップ
- 6GHz/2ストリーム、1Gbps回線 → 一人暮らしや少人数世帯で、将来の拡張、コスパを考えた選択
Wi-Fi6(5GHz対応)|必要十分、価格重視、一人暮らし用にも
- 5GHz/4ストリーム、2.5Gbps回線 → 複数端末を同時に使う家庭でも快適、中速回線でバランス重視の構成に
- 5GHz/4ストリーム、1Gbps回線 → 端末数が多くても、1Gbps回線で安定した通信を確保したい人向け
- 5GHz/3ストリーム、1Gbps回線 → 信頼のAtermブランド!端末数が多めの家庭におすすめ
- 5GHz/2ストリーム、1Gbps回線 → 少人数世帯や端末数が少ない環境にちょうどいい構成
- 5GHz/2ストリーム、1Gbps回線 → 一人暮らし用で動画視聴・ネット検索中心の使い方ならこれで十分
ルータは規格とストリーム数、回線速度で選ぼう!
これからルータを購入するなら、Wi-Fi 6以降のモデルが基本です。価格の安さだけでルータを選ぶと、後々の端末対応や通信品質で後悔する可能性があります。ルータ選びでは、同時に利用する端末の台数を確認し、さらにインターネット回線の速度に応じたものを選ぶのがポイントです。
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